隈研吾の設計したGallery in HK

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セントラルに新しくできた24階建の建物、H Queen’s。 
一見、変哲もない普通の事務所ビルに見えますが、この建物は香港で初めて’アート’のために建てられた高層ビルなんです。 

まだオープンして間ものないので全てのフロアが開業しているわけではありませんが、低層階とペントハウスにバー・レストランが入り、その間にある5階から23階がアートギャラリー専用のフロアとなっています。 

普通のオフィスビルとこの建物のの違いは、まず各階の天井高が高めに設定してあること。1フロア、4.65mもあります!近頃の現代アートは絵画だけではなく、大きな彫刻やインストレーションのようなものも多いので展示スペースも大空間である必要があります。 

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そして、それらの大きなアート作品を建物の中に搬入・搬出するために、特別なゴンドラシステムも導入されているとのこと。そのゴンドラはビルの屋根から吊るされて(窓掃除用のゴンドラみたいな感じ)、各階に設けられた開閉式の窓からギャラリー内に作品を運ぶ入れるそうです。斬新〜!これにより、エレベーターに入らないような大きい作品(最大3x4m、1.2トンまで!)も建物に搬入することができます。 

建物の説明が長くなってしまいましたが、このアートのために建てられたビルの中に日本の建築家・隈研吾氏が設計したギャラリーも入っていると聞いて、早速、見学してきました〜。隈研吾氏といえば、ただいま建設中の東京オリンピックのメイン会場である、新国立競技場の設計者。世界各地で引っ張りだこの売れっ子建築家です。 

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アートギャラリーって中に入りづらい雰囲気を醸し出していますが、誰でも自由に入れます! 
隈研吾氏がデザインしたのはこのビルの7〜8階にあるWhitestone Gallery。日本の銀座に本店を構える老舗ギャラリーです。 

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エレベーターを降りるとまず目に入るのが、このスペース。 
エレーベーターホールが白い和紙のような素材のファブリックで一面、覆われています。 

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透けるファブリックの裏に照明が設置してあるので、まるで光のトンネルの中にいるかのよう〜。 
なんとなく神聖な空間のように感じられ、香港の喧騒から静かなギャラリースペースに入る前に深呼吸したくなります。 

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ギャラリースペースの天井にも同じファブリックが使われており、均一で無機質になりやすいギャラリースペースに素材感を与えています。 

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でも、この天井、なんかしっくりこない。。。優しくソフトな素材を天井に使うことで、空間が不安定に感じるのは僕だけでしょうか〜。 
隈研吾氏はかつて’負ける建築’という本まで出したように、建築の存在感をできるだけ消すことに重点をおいてきました。しかしこの天井は違和感ありすぎで、それがかえって天井の存在感を大きくし、展示してあるアート作品よりも主張しすぎているように感じました。 

続いて、Whitestone Galleryの2階分を覗いてみます。 

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こちらはいたって普通のギャラリー空間。ここも隈研吾氏のデザインなのかな〜? 
白い壁が床から浮いてるかのようなデザイン。なんでもないディテールですが、こういう細かいところに注意を払うのが良いデザインなのではないでしょうか〜。 

気を取り直して、同じ建物内にある他のギャラリーも覗いてみましょう。 
最初にも書いたように、この建物には多くのギャラリーが入っており、それらは階段で行き来できるようになっています。 

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一つの建物内でギャラリーツアーができるのも、この建物のいいところ。 
エレベーターで1番上のギャラリーまで行き、1階づつ見学しながら降りてくるのも面白い〜。 

香港の一等地にあるこの建物、家賃も相当な値段と思われます。 
なので、この建物に入っているギャラリーは世界的な超一流画廊ばかり。取り扱っているアーティストも有名どころばかり。 

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先ほどのWhitestone Galleryには、草間弥生などの人気作家の作品が。 

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NYのPace Galleryでは、奈良美智の個展を開催中。 

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同じく、NYのDavid Zwirner Galleryでは、写真家・Wolfgang Tillmansの個展を開催中。 

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18階の特設ギャラリーでは、高級ウール製品で有名なLoro Pianaが期間限定のアートインストレーションを展示中でした。 

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ウールでできた空中ブランコでくつろぎながら、香港のスカイラインを楽しむことができます。 

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中には2フロア丸ごと借りている画廊もあり、大胆にもフロアに大きな穴を開け、吹き抜け階段を設置していました。アートギャラリーって羽振りがいいんですね〜。 

多くの金融企業が家賃の沸騰からセントラル地区を離れ、Kowloon、Taikoo、もしくは Kwun Tongなどに事務所ビルを移動しているのに、アートギャラリーがセントラルに残っていられるのはとても興味深い〜。大盛況だったアートバーゼルを見てもわかるように、アートは富裕層の間で本格的に投資道具として扱われているようです。街中に銀行がある感覚で、アートギャラリーがあるっていうのも面白いかも〜。 

アートギャラリーのためのデザインされた、H Queen’s。 
恐らく、その小さい敷地にはもともとハイスペックな事務所ビルは建てられなかったのでしょう。その敷地の弱点を利用して生み出されたのが、ギャラリーが縦に積み重なったビル。現在のアートの盛り上がりなども考慮して建てられた、とても興味深い建物だと思いました。