香港の公団住宅の発祥の地 〜石硤尾を散策〜 その1

モンコックから地下鉄で3駅目にある石硤尾(Shek Kip Mei)。
繁華街から外れているため、普段はあまり立ち寄ることのないエリアですが、
古い建物を利用して作られたアートセンターや芸術家ビレッジ、美術学校やユースホステルなど、
香港の若きクリエーターが集まる街との噂を聞き、早速散歩してきました〜。

そこには、トレンドとか商業的成功とか関係なく、好きなことに没頭する人々や、
困難や苦境を乗り越え生きてきた人々の歴史など(ちょっと大げさ〜)、
今まで見たことのない香港の一面を見れたような気がして、
とても収穫の多い散策になりました。

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石硤尾は決して散歩に適している街とは言えません。
地下鉄の駅を出ると、周りは公団住宅だらけ。
中高層の新旧・様々なタイプの集合住宅が街を形成していて、
まるで街全体が公団住宅の博覧会のよう〜。
中にはかなりガタの来ている建物もあり、大掛かりな補修工事をしていたりと、とても騒々しい。 

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雰囲気を楽しむ感じの街ではないので、早足で最初の目的地、
St. Francis of Assisi Church に向かいます。
ここは1930年に設立されたカトリック教会。建物自体は1950年代に建てられました。
外観は和洋折衷スタイル。オリエンタルな瓦屋根がかわいらしい。

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2階にある大聖堂を覗いてみると、気持ちの良い大空間が〜。
静寂した空気が漂っています。

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教会の目の前には、教会の凛とした雰囲気とはかけ離れた、超ローカルな通り、
Yiu Tung Street があります。ダイパイドンとして地元人に人気。
この日は午後の中途半端な時間帯だったので屋台で食事をしている人はいませんでした〜。 

一旦、大通りに戻り、公団の中を歩きます。
街の区画ごとにスタイルの違う集合住宅が建っており、一度に様々な形態の公団住宅を見学できます。
団地マニアにはたまらない〜。(需要少なめ?)

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Woh Chai Street 沿いを歩くと、道の左側にタ高層ワーマンションタイプの団地、
右側には中層の長いタイプの団地があるのがわかります。

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上の地図をみると、高層タイプの建物は区画内にポツン、ポツンと独立して立っているのに対して、
中層タイプの建物は区画の縁を沿うように建てられています。
そして区画の中央部分が大きな広場となっているのが分かります。

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中央部分の広場を覗いてみましょう〜。
この広場は道路より一階分高くなっており、住人の憩いのスペースとなっています。
地上階の賑やかさとは打って変わって、とても静かでプライベートな空間が広がっています。

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通りをまたいで向かい同士の団地の広場は、2階部分で歩道橋により結ばれています。
団地の住人は、車や人の行き交う地上階の騒々しさを避け、
2階部分の歩行者用通路を通って、静かに街を散歩することも可能。
よそ者の僕は地上階の道を通って、散歩を続けます。
次の目的地は、この散策のの目玉、JCCAC (Jockey Club Creative Arts Centre)。

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このアートセンターは、展示室や劇場などの公共の施設と、
アーティストのためのスタジオや工房を常備したアート系複合施設。
140人あまりのアーティストがこのアートセンターを拠点に活動をしており、
一つの芸術家村のようなものを形成しています。

芸術活動をより多くの人に身近に感じてもらうことを目的にコミュニティー活動も行っており、
陶芸教室やガラス細工などのクラフト系の教室も開催しているようです。
週末には、不定期で、雑貨・クラフト市も行っています。

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建物の中心にはコートヤードスペースの大空間が広がっています。
今週末はタイミングよく、クラフト・雑貨市を開催中。

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手作りのアクセサリーや小物類、陶器の食器など、女子が好きそな雑貨が並びます。

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2層の吹き抜けスペースになった展示室や、

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地下のシアターも、今日はクラフト市の売り場として解放されていました。かなりの店舗数〜。

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広東語をユーモラスに使ったグッズもあり、香港のお土産探しにも良さそう〜。ちなみに次回のクラフト市は、6月9〜10日に開催です。
クラフト市を見逃してしまっても、このアートセンターは、建物自体がとても興味深い〜。
1970年代に建てられた、Factory Building(町工場のような軽工業が1つの建物の中に集まったもの)を
再利用して使われているのです。
9階建てのこの建物にはピーク時には390もの町工場が入っていたとのこと。
1990年代に入り多くのビジネスが中国本土に移ってからは次第に空室が目立つようになり、
2001年に閉館。その後、2008年にこのアートセンターとして生まれ変わりました〜。

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基本的な構造は昔のままで、建物の中心にあるコートヤードスペースには
ガラスの屋根が新しく架けられました〜。

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アーティストのアトリエや工房は、コートヤードに面した回廊沿いに並んでいます。

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絵画に専念している人や、ガラス細工、手織りの布を専門にする工芸家など様々。
館内をゆっくり歩きながら、プロの仕事場を見て廻ることができます。

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中にはショップのように、一般にオープンしている工房もありました。ここは、陶器を扱う工房。

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そして、この建物がかつて町工場であった名残、
昔の印刷所でつかされていた機械などが飾ってあります。

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一階部分のコートヤードに面してカフェや、

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中国茶の専門のお店などがあります。
ここでランチやベジテリアン飲茶をいただくこともできます。
全体的にセントラル地区にあるPMQに似ているような気がします。
双方ともアートやデザインなど、地元のクリエーターをサポートするを目的に生まれた施設。
ただ、JCCACは商業的な目的が少なく、純粋に創作活動に重きを置いている施設との印象を受けました。コミュニティーとの繋がりにも力を入れており、グラスルート的な活動をしています。
リラックスした、とても好感の持てる施設です。
PMQはセントラルという土地柄や家賃の関係か、お洒落目的でボヒミアン感を演出しているというか、
ビジネスを全面的に感じてしまいます。
JCCACを訪れた後だと、薄っぺらく感じる〜(笑)。

JCCACのようなクリエイティブな施設の周りには、個性的なお店が集まってくるものです。
アートセンターの裏側にある Wai Chi Street には、ローカルなお店に混じって、
ハイセンスな雑貨屋さんやおしゃれなカフェがあります。

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センスのいいキッチン用品や文房具類を置いているお店。その名も「雑貨」。
店前に置かれた椅子には、散歩途中の近所のご老人が一休みしてたりと、
地域とのつながりが微笑ましい。

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その先には、文房具屋とカフェが一緒になったお店、Toolss。

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店内には学生時代によく使っていた文具や、日本の雑誌も置いてありました。
2店ともとてもおしゃれで、同じ通りにある超ローカルなお店とのギャップが激しいですが、
店員さんは近所のお店の人と気さくに会話してたりと、しっかり街と共存している感じがしました。
とても心が和む〜。
カフェで一服した後、これまた古い建物を利用して作られたユースホステルに向かいます。
そこで、石硤尾の壮絶な歴史と香港の公団住宅の発祥の地として由来を知ることになるのです。
それは次回の投稿で。
つづく。