元祖・住みたい街 No.1/Mei Foo 散策

前回からの続きで、Mei Foo(美孚)に遊びに来ています。

前回は主にMTR美孚駅の北側を歩き、丘の中腹にある「饒宗頤文化館」(Jao Tsung-I Academy)などを紹介しました。今回は駅の周辺や南方面を散歩したいと思います。

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地下鉄の美孚駅ですが、その名前は駅の周辺にある大きな団地街、「美孚新邨」に由来しています。

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美孚新邨にはなんと99棟もの高層住宅が建っており、述べ1万3千5百戸のアパートがあり、総人口7〜8万人を有する、世界最多規模の団地街といわれています。団地の中を歩くと、どれも似たような建物ばかりで方向感覚を失いそう〜。

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日本で団地と聞くと、公団や行政が建てた集合住宅というイメージを受けると思いますが、この美孚新邨は石油メージャーの一つ、モービルの子会社が開発した民間資本の団地です。このエリアにはもともと1920年代からモービルの石油貯蔵庫がありましたが、その移転に伴い、跡地を利用して広大な団地街が建設されることになったのです。1960年代の終わりから70年代にかけてのことです。ちなみに、モービル社の中国名は「美孚」、故に「美孚新邨」の名がつきました。

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(↑写真は完成当時の美孚新邨。目の前には海!埋立地ができる前です!)

当時の香港は住宅難にあり、国としてもまだ発展途中。古い立て付けの悪い公共団地やトタン屋根の質素な家屋に住まざるえない人も多くいたとか。その香港において、美孚新邨のような、鉄筋の高層住宅が規則正しく並ぶ街は、さぞかし画期的で未来的だったことでしょう〜。

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しかも、すべてのアパートにはバルコニーがあり、リビングと寝室がちゃんと分かれている、そんな家に住むのは、多くの香港人にとって憧れの的〜。お金に余裕のある、中流階級の人々がこぞって住みたい街だったのです〜。この街の成功により、Taikoo Shing や Whampoa Garden などの、民間資本の団地街が香港各所に開発されることになります。

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ちなみに、現在のこの周辺の物件価格↑。見事にすべて億ションです〜!

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団地と聞くと、機能だけを重視した味気ない住宅を頭に浮かべてしまいますが、美孚新邨には遊び心のあるデザインが各所に見られます。とても人間味を感じられる場所です。

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至る所にパブリックアートがあったり、手入れの行き届いた鉢植えが飾られていたり、今でもこの団地街は住人によって大切に住まわれているのが感じられます。ちなみに、団地各所にあるアート作品は何かしらモービル社の歴史に関するものらしいです。

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↑例えばこの彫刻は、昔のモービル社のトレードマーク、「モービルペガサス」に似ています〜。

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すべての建物の下層階はひと続きの大きなポディウムとなっており、その上に屋上広場があり、独立したアパート棟が建っています。コルビジェが提唱した近未来の都市像をモデルとしているかのようです。しかし、モダニズムの都市計画の多くが、建築家の独りよがりのせいで失敗したのとは対照的に、美孚新邨にはしっかりとコミュニティーが根付いているようでした。

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下層階には、様々なショップやレストラン、銀行、マーケット、駐車場、学校などの生活に必要であろうすべてのアメニティーが入っています。大型のスパーチェーンもいくつもありますし、銀行もほぼすべての会社が支店を構えているようでした。HSBCなんて、2店舗もありました〜。8万人もの人口を支えるにはそれだけの施設が必要なのでしょう〜。

1日じゅう居いても飽きないほど、ワクワクさせられる迷路のような団地ですが、後ろ髪を引かれる思いで先へ進みます。また別の日に、戻ってきます〜。

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美孚新邨の南側のフェンスの向こう側は、かつて海だった場所。フェンス沿いの住宅はさぞかし、素晴らしい眺めだったことでしょう〜。現在は埋め立てられ、Lai Chi Kok 公園になっています。

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この公園も、これまた広大〜。バラエティーに富んだ、遊びどころ満載の公園です〜。

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子供のプレイエリアはもちろん、バスケットボールコート、フットボールピッチやテニスコートもありますし、変わりどころでは、ゲートボール場やロラースケートのリンクまでもあります。そして、なんとスケートボード専用のエリアまであります〜。

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とても本格的な施設です(素人には、そう見えました〜)。香港の若者がスケボーしているの初めて見るかも〜。

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そして、この公園の最大の見所は、中国風の庭園、「嶺南之風」

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広さ1万2千5百平方メートルもある、かなり本格的な庭園です。

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中心にある人工池を徘徊しながら、団地をバックに見る中国庭園も、なかなか乙なものです。

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そのまま公園を散歩し、西に向かって歩きます。公園の西側は高台になっており、遠くに香港島やIFCの摩天楼が見えます。

夕方に公園をのんびり散歩する時ほど、幸福に満たされる瞬間はありません。←ちょっと大げさ〜。ノスタルジックな空気が流れている美孚新邨を見学した後なので、特に感傷的になってしまいます。かつて夢と希望を胸に美孚新邨に移り住んだ人々は、今の香港の発展ぶりをどう感じているのでしょうか〜。みんな幸せであって欲しいな〜と、全くの部外者である僕が切に願いたくなる1日でした。

このまま、夕日に向かって、西方向に歩いていくと、MTR美孚駅のD出口にたどり着きます。ここで今日の散歩は終了です。お疲れ様でした〜。